職員おすすめの本(2017/11-2018/4)

としょかんだより掲載の職員のおすすめの本です。
読んでみて面白かった本、これはいいな、と思った本をご紹介します。

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スティグマータ
近藤 史恵/著 新潮社

自転車ロードレースで、「エース」の勝利のために走る「アシスト」である、主人公・白石誓。フランスのプロチームと契約し、トレーニングの日々を送る中届いた噂。かつてドーピングで有罪となった堕ちた英雄が、ツール・ド・フランスに出場する―。
「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」に続く本作。
自転車ロードレースを全く知らなくても、自分を犠牲にして「エース」の勝利のために力を尽くす「アシスト」、背負うものが多いからこそ勝利に貪欲な「エース」、彼らのプロとしての覚悟、そして自転車ロードレースへの強い想いがまっすぐに伝わってきて、心を揺さぶられます。
「サクリファイス」から読むと主人公が何を背負っているかがわかり、より本作を楽しめると思いますのでお勧めです。新年度新しいことを始めたい、そんな気分の時、今まで読んだことのない新しいジャンルに挑戦してみてはいかがでしょうか。

街と山のあいだ
若菜晃子/著  アノニマ・スタジオ

「山と渓谷社」編集者として長年全国の山に登ってきた著者が、山日記をもとにつづった随筆集です。山に登ったこともない入社したての初めての登山は、スニーカーとも言えない編み上げ靴をはいての立山連峰と剱岳でした。体力はあってもさすがに華奢な靴に足が傷み、登頂する同行者を途中の山道で待つ決断をします。雄大な自然の中に、風を受けぽつんとたった一人でいることの素晴らしさと非現実感、岩陰に咲くチングルマの可憐さ。日が傾くなか帰ってこない仲間を待つ不安と心細さ…。街に帰れば、あわただしい毎日に、山での出来事が異次元のことであったような不思議な感覚。読むにつれ、昔山歩きをしていたころの忘れてしまっていたあれこれがまざまざと甦ってきました。
本格的な山ばかりではなく、低山のゆったりとした時間の中の山歩き、自然の中に包まれてあることの楽しさを改めて感じさせてくれる一冊です。
山好きの方も、そうでなかった方も、自然の新しい表情を見つけに近くの山にちょっと足を運んでみませんか?

ブスが美人に憧れて人生が変わった話。
フジコ/著 大和出版

自称見た目も性格もブスで美人が大嫌いなフジコさん。ある時、SNSで仲良くなった同じ趣味を持つ人たちと実際に会うことになりました。同じアニメオタクなんだから私みたいな人ばかりのはず…そう思っていたフジコさんの前に現れたのはなんと3人の美人。しかも、みんな優しい…!すっかり美人の虜になったフジコさんは自分も美人になる!と意気込みます。
美人を観察・トレースし、見た目も性格も大きく変わったフジコさんが考える美人とは?幸せとは?フジコさんの明るく楽しい文章が前向きな気持ちにさせてくれる1冊です。

 

5分後に涙のラスト
エブリスタ/編 河出書房新社 

5分で読めるくらいの短編を集めた本です。短いお話ですが、その中にもきちんと起承転結があって泣かされます。
特に好きだったのが「きみにクローバーの花束を」というファンタジーのお話です。主人公とその主人公を護るアンドロイドとの心の交流のお話。
心の交流……相手はアンドロイドなのですが……心ってあるのかしら。それがまさかの結末。泣かされました。
図書館ではYAコーナーに置いています。中高生のみなさんにも大人にもおすすめです。